人生初のファーストクラスに乗る日。
それは世界旅行の始まりでもある一日。
前日はドキドキしながらも早めに眠りについて、少し早起きしたらしっかり準備して住み慣れた我が家にしばしの別れをつけて出発ーーーー
という爽やかな旅立ちを想定していたのですが、そうはいかないのが私です。
家は戦場。準備はカオス。2徹して見た目は完全にバーサーカー。
どうして。
どうして、そうなったの。
でも、乗れたよ、ファーストクラス。
最高だったよ、ファーストクラス。
いよいよ始まる夫婦で半年の偏愛世界一周旅。
最初の旅立ちは、JALファーストクラスで羽田からバンコクまで。
2徹で体力限界の中、謎のテンションでファーストクラスに乗った思い出の初体験の記録です。
明けない夜はないというが、終わらないパッキングはあるかもしれない
世界一周前夜22時、パッキングはまだ30%程度しか終わっていないという地獄の様相。
フライトは朝10時過ぎながら、ファーストクラスをラウンジから満喫したい貧乏性の私たちは、ラウンジがオープンする5時30分に空港に着くつもりだった。
ですが。
おかしい。出発1週間前にパッキングの70%を終えているはずだったのに。
20年近く勤めた会社の最終出社日は、出発2週間前に終える予定だったけれど何だかんだPCとか備品返却やら全て終えたのは3日前。
ここから鬼の追い上げを見せるつもりが、え〜〜〜〜サングラスは何個持って行くう〜〜??とかキャッキャしてたら全然終わらず、出発2日前、早くも徹夜。
(顔いくつあるんだよ、1個ありゃいいんだよ!!って今なら頭はたいて目を覚まさせる)
出発前日のお昼。
荷物を詰めてみると、入れたい容量の1/3くらいであっという間に100L近い容量のスーツケースは一杯になり、慌ててスリコに圧縮トラベルポーチを買いに走る。
夫は閉まらないスーツケースをなんとか閉めようとずっとスーツケースの上に乗って、右向いたり左向いたりしている。
電気代節約でプラグを抜いていくための冷蔵庫の掃除は早々に諦めた。
なのに、持って行く予定のものが全然スーツケースに収まらない。
夜22時にして、荷物を相手に世界旅行のおとも選抜戦。すっかり一緒に行くつもりだったであろう荷物たちからしたら、急な方針転換にたまったもんじゃないだろう。
結局、選抜に数時間かかり、その後テトリスのようにうまく積むのに2時間かかり、気づいたら出発当日の朝6時。
もうラウンジはオープンしてしまったし、あと1時間で鮨鶴亭(ファーストクラスラウンジにある鮨カウンター)もオープンしてしまう。
ということで、これからどうせすごい金額使うんだから、今さら1万2万変わんねえよとタクシーで高速をぶっ飛ばして出発。本当にこういうところだぞ。
車中の短い時間は2人とも白目むいて気絶。 今からファーストクラスに乗るとは信じられないドッタバタな様子で旅が幕開けたのでした。
羽田空港での手厚いお出迎えにファーストクラスに乗る実感がじわじわ湧いてくる
チェックインからファーストクラスの旅は始まる
まずはチェックインカウンターへ。
タクシー内のわずかな仮眠で、かえって体が惰眠を貪ろうとして目はうつろ。髪は乱れ、ボロボロの様子でカウンターに到着。
そんなズタ袋のような姿の2人にも、JALさまはとてもお優しい。
「ファ、ファ、ファファー!!!!」
ファーストクラスと言おうとして、言ったことのない言葉に舌がもつれ、カウンターで断末魔の叫びみたいな声をあげるズタ袋。 我ながら怖すぎる。
ファ、ファーストクラスです、、、
なんとか声を絞り出し、見た目と出る言葉がもっとも合っていないボロ客、必死に告げると、「ラウンジへご案内します(ニッコリ)」と2人の方がやさしく出てきてくれました。
ダンベルでも入ってます??!!と投げ捨てられても怒れないレベルにとんでもなく重い荷物にも関わらず、柔らかい笑顔のまま専用カウンターまで丁寧に運んでくれました。しゅき。
初めてファーストクラス専用のチェックインスペースに踏み入れると、ソファ席にご案内される。 長らく便所座りでパッキングしていたので、尻が「ようやく地面っすわ」と意志を持ったようにソファ奥深くに進んでいき、一瞬でまた寝落ちしそうに。
隣の夫も死に体である。 正直、この日の記憶は断片的。
今まで何度も来ている羽田ながら、足を踏み入れたことがない場所ゆえに現実感がなく、これもまた今まで何度も見てきた夢なのかもしれないと思ったことだけは強烈に覚えています。

夢だったラウンジについに踏み入れる
ラウンジで真っ先にしたこと。
それはシャワー。
なぜなら、風呂に入る時間も惜しんでパッキングしていたからです。それも2徹。
風呂キャン界隈がこんなところまで入り込んじゃったよ!!
このラウンジのシャワー、おそらくこんなふうに使う場所じゃない。
ラウンジでは明らかにパリッとした雰囲気の皆さまがそれぞれの時間をお過ごしになっている。
我ズタ袋、存在をお詫びしたい気持ちになり、そそくさとシャワーへ移動するとシャワールームはこんな感じ。

富裕層のおうち…?
シャワーの効果もあって、眠さの向こう側ゾーンに入り、急に旅立ちの実感も出て謎のアドレナリン放出。 すわラウンジ探検じゃと思って夫の元に向かうと、形を保つのがやっとというゾンビ、もとい夫が俯いて座っていた。
これからファーストクラスに乗る人とはとても思えない…
何か飲む?と聞くと、掠れた声でオレンジジュースをご所望。 私はもちろん酒を飲む。
どうも旅に出る時は、お酒を飲まないと休みという気持ちにならないから、本当に困ったものです。
もう無職なのにね!
そしてラウンジ、しゅごい…

ワインいっぱい、日本酒もいっぱい。お寿司もラーメンもある。
2徹なのに朝からお酒を飲み、脳みそがよくわからない情緒で気を抜くと涙が出そうに。 これは喜びなのか、安堵なのか、それともただの寝不足なのか、自分でも本当によくわからない。
日本で食べる日本食もしばらくお別れと思うと、つい鮨もラーメンもしっかり食べてしまう…
はあああ、うまい。うまいよ。。。
鯛…?ヒラメ…?
なんだろう、わかんないけどとにかく白身のお魚美味しい。
情緒がおかしいからこの白身が何かもわかっていないくせに、食べながら泣きそうになる。
きっと滞在したのは正味1時間くらいだったと思う。
でも既に旅行の1日目を終えたみたいな濃密な満足感で、あっという間に搭乗時間に。
予定よりもすごく短いラウンジタイムながら、心から満喫してラウンジを後に、いよいよ搭乗口へ。
さあ、いざファーストクラス!搭乗です!
初めてのGroup1で搭乗。
入った瞬間に、CAさんが席までアテンドしてくださる。
いつも肩をなるべく小さく畳んで歩くエコノミーの通路と違う広さに早くもテンションは最高潮。
ここが私のアナザースカイなの…??
まだ地面ですけろ!
航空券を購入した当時、窓際席か悩んだけど1席・2席・1席の配席で、「最初はご夫婦お並びの方が記念になるかと思います😊」というJALさまのご提案をありがたくお受けしたため、中央の横並び2席に座ります。

真ん中の仕切りが開く!
席ひろい!
なんか色んな引き出しある!
アメニティポーチにお水、無料Wi-Fiのカード、なんか色々置いてる!
わあウェルカムシャンパンもきた!
もう食べたいメニューも聞いてくれるの!?
浮かれポンチ感が出ないように必死に抑えるも、心の中は盆と正月とカーニバルが同時にやってきたレベルで大騒ぎです。
まだ離陸していないのに、既に地に足がついていない。
それもまたファーストクラスという場所なんでしょう。きっと。
空の上でリストランテ・ファーストクラス、開店
メニューが素敵すぎて選べない
離陸してしばらくは、色んな引き出しを開けたり閉めたり、メニューを開いたり閉じたり、席そのものをしっかり堪能。 お手洗いには、殿上人が使うともっぱら有名なクレド・ポー・ボーテの美容液まで置いてあって、クラクラしながら戻ってきたら、いよいよお食事タイムです。
メニューは和食と洋食があって、和食は「神楽坂石かわ」の石川シェフと「虎白」の小泉シェフが監修、洋食は「カンテサンス」岸田シェフが監修されているそう。
この日のメニューの一例
和食
・前菜5種:毛蟹、蒸し雲丹、甘鯛昆布〆皮炙り、黒毛和牛など
・お椀:<石かわ>鮑 筍真丈 木の芽
・中皿:<石かわ>白海老 春かぶすり流し 蕗 キャビア
・煮物:<石かわ>桜ます 筍 ぜんまい 新玉ねぎ 銀あん
・ご飯:<虎白>蒸し帆立の炊込みご飯 三つ葉
・味噌椀:<虎白>油揚げ 白葱
・香の物:<虎白>昆布 切り干し大根
洋食
・アミューズ・ブーシュ:山羊乳のバヴァロワ
・オードブル:
ホワイトアスパラガスとボタン海老/ホロホロ鳥のバロティーヌ
・メインディッシュ:
アイナメ、春野菜とオリーブオイルのソース/和牛フィレ フォンドボーソース
私はドラマ『グランメゾン東京』にどハマりしていたので、ドラマのスペシャリテでもあり、ドラマを監修していた岸田さんのスペシャリテでもある山羊乳のバヴァロワが何としても食べたい。
一方で、「ファーストクラス=キャビア」という貧困な想像力によってファーストクラスに乗ること=空の上でキャビアを食べること、くらいに思い込んできましたが、この日のメニューでは、キャビアは和食にしかない模様。
夫とシェア♡と思ったのも束の間、既にゾンビは早々にベッドを作っていただき、二度と起きなそうな様子で泥のように寝ている。
どうしたもんか、、、
男梅のような険しい表情で悩んでいると、「好きなものをピックアップしてお出ししますよ♡」と天使の声。
天使は本当に空の上にいるんだあ、、、
しっかり甘えさせていただき、夢のグランメゾン東京スペシャリテとキャビアをじっくり味わう。。。
もうこれだけで、これまでの20年近くの仕事人生が報われた。涙がほろり。
なお、山羊乳とキャビア以外も、何を食べても美味しくてびっくりした。
なんなら塩まで美味しくて、塩で呑める特性を持つ私は、何でも頼めるという素晴らしい機会にも関わらず、いつまでもうっとり塩を舐めておりました。うん、妖怪みたいだよね。
シャンパーニュが私に飲まれたがっている
そして…
事前にあらゆるファーストクラス体験を読み漁っていて、様々な経験談から「飲み過ぎることはファーストクラスの乗客として好ましくない」とインプットして搭乗したのですが、CAさんは私の飲みたい気持ちを見透かすエスパーだったようで、とにかくお料理に合わせて色々と素敵なマリアージュを勧めてくださる。
なんなら、シャンパーニュを2杯以上いただくのは気が引ける…と思って、おすすめくださるもオドオドとしていたら、どんどん注いでくださる。

「ボランジェをこんなに何杯もいただいてしまって、い、いいんですか?!」
思わずお伺いしてしまうと、CAさんはとびきりの笑顔で、
「これほど愛でてくださり、ボランジェも喜んでおります」
と。
ボ、ボランジェが??!
喜んどらすの!!?
あ、あたすに呑まれたくて!?!
もう、すごくないですか。
明らかに乗り慣れていない乗客の、飲みたいけどどう振る舞っていいかわからず遠慮している様子を見て、シャンパーニュが喜んでいますから(気にせず飲んで)って言えるのスマートすぎない!!?
感動。激しく感動。
あ、もちろん飲みました。
だって、ボランジェを喜ばせたいからね!!
人生で初めて、飛行機が時間通りに着かないでほしいと思いました😇
大好きな映画を見ながら、大好きなプレイリストを聴きながらリストランテを愉しむ贅沢
そして私、まだ気付いていなかったファーストクラスの魅力を知ってしまった。
リストランテのメニューを食べながら、好きな映画を観ることができちゃう!!
もう、贅沢すぎて気絶しそう。
私、『LIFE』という映画が大好きなのですが、偶然にもこの便で観ることができたのです。
この映画は、写真誌のLIFE社で写真管理の仕事をする主人公が閉刊号の表紙写真のネガを無くしてしまい、写真家を追って世界中を旅するというもの。
なんなら、この映画が好きすぎてロケ地であるアイスランドを旅程に入れたし、ニューヨークの本社跡地も巡るつもりでGoogle Mapにしっかりピンも立てている📍
そんな映画が旅のはじまりの機内エンタメで観られるってなんか運命的なものを感じてしまって、またホロリ。
そして、映画も終わり、でもまだ脳みそが興奮していて機内エンタメの音楽も聴いてみると、アラフォーの心臓狙い撃ちなエモすぎるプレイリストが。。。
何度、終電を逃した後のカラオケで歌ってきたか。。。


カンテサンスのメニューと美味しいワインをいただきながら、大好きな映画を観て、思い出溢れすぎるプレイリストまで聴けるなんて、神様が私の退職祝いをしてくれているんだなあって思いました。
(めでたいやつ😇)
そして、このリストランテ、さらには眠くなったらそのまま寝れちゃうんですよね。
旅館だってオーベルジュだって、お部屋に戻らないとだよ!
でもファーストクラスなら席でそのまま横になれちゃうんだよ!
はあ、最高すぎる。。
こんな贅沢を覚えてしまって、私は下界に降りられるのか…降りたくない…
※余談ですが、バンコク到着後記念すべき1日目の宿泊地は、すぐまたバリに向かうため滞在時間が短いからとケチって空港近くの安ホテルを予約しており、ファーストクラスから一転、マグショットが撮れそうな部屋で眠りにつき一瞬で現実に戻れました。VIPの超好待遇から悪いことをして刑務所へいくみたいな特殊な気持ちを味わえるとても濃密な初日でした。めでたし。
バンコク到着。ファーストクラスという小さな旅が泡沫のように終わっていく。
絶対遅れてほしくない飛行機はこれまで幾度となく遅れてきたのに、私の願いは虚しく予定より少しだけ早くバンコクに到着。
なんかもう夢のような気持ちすぎて、既に2泊くらいした気分。
出発前はギリギリまで仕事して駆け込みで必要備品を退職する会社に返却して、パッキングに2徹して、タクシーぶっ飛ばして。
全然スマートじゃない始まりのズタ袋を、JALさまとそのファーストクラスはやさしく丁寧に受け止めてくれて、気付けば温かいエネルギーで満ち溢れた気持ちでバンコクに到着。
キラキラと膨らんで一瞬で弾けるシャボン玉のような。
満開の桜が、桜雨をあびてはらはらと散っていくみたいな。
幸せでさみしい。
さみしいのにあたたかい。
そんな不思議な気持ちでした。
ここまであまりにファーストクラス感のうすいことばが並んでいたので、慌ててうつくしいことばもぶち込みました。あさはか😇
でも本当に、今までは、飛行機の疲れをいかに軽減するかばかり考えていた長距離便で、こんな風に満ち足りて降りられる日が来るなんて想像したこともなかった。
とにもかくにも、私たちらしい出発から、たくさんのきらめく祝福をもらって、いよいよ旅が本当に始まっていくのでした。
初めてのファーストクラス、そして世界旅行1日目。
ほとばしる昂まりを思い出して、気付けばすっごい分量の記事になりました笑
ぜひここから少しずつ増えるはずの偏愛旅記事、楽しみにしていただけたら嬉しいです✨


